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仙台の実家で、祖父の母だという老女に紹介された話。

仙台の祖父母の家に、久々にゆっくり滞在してまいりました。
ゆっくり、と思ったのに、意外と体感時間は早くて、さびしい。
買い出しをお手伝いしたり、庭の草を刈ったりしながら、ひまを見つけては畳の部屋で手足を伸ばすそんな日々。
夢かうつつか、祖父の母だという女性に紹介されました。
今回はそのお話。記録用なのでわりととりとめないです。

昼下がり・・・・・。
庭の裏の熊笹と格闘していた私は、ちょっと遅い昼寝を楽しんでいた・・・・。
曇りがちな空に、むうっと湿った空気。
畳の上で、タオルケットをかぶりうとりうとりとしていた私。

しだいに、周囲が暗くなっていく。
それは日が沈んでいくからだと思うともなしに思っていた私。おかしい、と気づいたのは、
いつも通りの和室の壁の四方がとろりと溶けた闇の色をしているのに気づいてから。
部屋の様子も、桐箪笥も五月人形も火鉢も障子もそのままだけど違う。
まるで凸レンズ越しにのぞいたみたいに、ぐうっと歪んでいる。
そして、妙に手足が冷たい。自分の感覚だと目を閉じているのだが、周囲の様子がはっきりわかる。
そして、突然それはきた。

「か、かなしばりっ・・・・!」

そう、それは生まれて初めての金縛り。
胸の上に、誰かが正座していて、しかもぐぐっと私の胸の上の膝に体重をかけられたらしく息が出来ない。
ふすまを隔てた向こうでは祖母が台所仕事をしているのがわかっている。
声をだそうとするのだが、でない。まずい、半端なく恐い。氷の柱でも呑み込んだように体が冷たい。
2,3回試みて、ようやっと

「お、おばあさまー!」

声でた!祖母が気づいて「はいはい。」と言いながらこちらへ来る軽い足音も聞こえる。
た、助かった・・・・・。

半分しまっていた障子を、カラカラと開けた祖母。
そして、

祖母「あらー。おじいちゃんのお母さん!」

な、なんですと?!

私「お。おばあさま、助けて・・・・。」
祖母「ごめんね、おばあちゃま今手が離せないの。大丈夫だから、相手したげて。じゃ。」

ちょ、おばw

いやいやいや、私胸にのっかられて動けないです。ていうか誰も見えません、まじで。
すると、祖母の退場とともに、すうっと軽くなった身体。
起きれる!という勢いのままにガバッと起き上がる。
これで夢から覚め・・・・覚め・・・・・

覚めてねえ。
和室がいまだに異界モードだ。

それに・・・・いるし・・・・うん。わかる、わかるよ、見えないけど、いるよね?
冷気すげーよ、ドライアイスみたいな煙でてるよ。
そして何か訴えたい気配をバンバン感じるよ。

「え~と・・・・・。」

告白します。余裕ぶっこいて書いてますが、私は幽霊とか本気で苦手です。
幼稚園の時、山の上の遊園地で、父親に無理やりお化け屋敷に連れていかれそうになり、ふりきって山のふもとまで逃げたのはよい思い出です。
なのでこの時もめちゃくちゃびびってました。
祖父の母とか言われても、会ったことありませんからー!!

しかし困りました。相手は何か言いたいらしいのですが、あいにく私は相手の姿が見えないし、声も聞こえない。
濃い気配だけを透明な煙のように感じられるだけ。
いったいどうすれば・・・・・。

「・・・・・・・お体の具合でも悪いんでしょうか?」

とりあえずしゃべる。黙ってるほうがこわいからだ。
でも聞いてから思った。

お体がない。

このうえない失言に気を失いそうになる。
だってだってだって、怒らせたら本気の意味で自分がどうなるかわからない!
これはね、恐い。本当に恐い。
たとえ頭では、血縁だ、大丈夫だとわかっていても、肉体の一部である心臓は、体感できない存在に戦く。

しかし恐れ戦きながらもなんとかコミュニケートを試みる私。
このへんは半分気絶していたのであまり記憶がない。

不思議なもので、少しずつだが、相手の気配が尖らないことに安心して自分が落ち着いてくると、
異界モードだった和室も禍々しさを減じてくる。明るくはならないが、私のほうにぐっと焦点があつまってゆがんでいた感覚がなくなり、息がしやすくなったのだ。
その時、それまでピアノの音が聞こえてきた。自分でも、それが本当のピアノの音じゃないが、相手が自分に聞かせたいから聞こえるのだとわかる。

「ピアノ。」

そう言えば、祖父母の家には昔、母が若いころに引いていたというエレクトーンピアノがあった。
木製の、年季がはいった大きいピアノ。あれは確か、今回の震災でダメになった家具と一緒に捨てたはず。
そう思った私の頭に、声が響いてくる。

「あれがなくなって寂しいわ。」
「ごめんなさい。あれ、もう捨てちゃったの。」
「あら、そうなの。」

怒るだろうか・・・・・。と一瞬ひやりとする。

「まあ、それならそれでいいんだけど。」

なんじゃい。

私の前に凝っていた透明な煙がふわりと移動して、和室の隅にある揺り椅子にうつった。
ゆらゆらと椅子が揺れだすのを見ながら、私はもう怖いとは思わなくなってた。

祖母「お話した?」
私「ピアノがなくてさびしいって。」
祖母「あらそうなの。でもしかたがないわね。」

ふと、祖母に手を重ねられる。

祖母「手を貸して。ちゃんと紹介するから。」

その祖母の手にしわがなくて、私の手が小さくて、
「あ、自分は今夢をみている。最初から夢だったのか、そうでないのかはわからないけれど、
少なくとも今は夢の力で本当に危ないことはなにもないんだ。」と思った。

祖母の手に導かれて、揺り椅子の、何も見えない空間に手をのばす。
その時、私の手が触れたところから青い光がでて、その光が消える前の一瞬だけ、人の顔が見えた。
白髪の束髪。着物姿でかなり小柄な、品のいいおばあさん。

「この子が孫なの。今9歳よ。」

祖母が、その人に紹介した。
9歳、9歳、そうか、私は9歳のころにこの人に紹介されたのかと思った。
もう怖くなかった。
そのとき、ふわりと自分の体もういて、和室のなかに寝ていた自分の体にもどった。
ふとんに滑り込むような感じで、そのまま目が覚めた。

汗をいっぱいかいて、疲れていた。
母が私を見下ろして。

「あんた、寝てばっかり。」

と言う。
遠い所にいって帰ってきたあとのような気がして、でもこれは多分疲れているせいで見た夢で、でもそうでないほうが面白いからそれだけでなかったのだと思っておこうと私はおもった。







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2011-06-24 : 日々 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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プロフィール

ものを書く縮小 劇作家のモスクワカヌです。
短編・音楽劇・ラジオドラマ・Webコラム等を書いております。 ペンネームの由来は、以前住んでいた某首都+本名。
演劇ユニット「遊戯ヱペチカトランデ」の主宰もしてますが。団体は現在お休み中です。
HP:「遊戯ヱペチカトランデ」
BLOG:「дача берёза ダーチャ・ベリョースカ」
劇団劇作家所属。劇作家女子会。メンバー
お問い合わせはyugi.mw☆gmail.com(☆を@に変えてください)にお願いします。

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前回の公演

遊戯ヱペチカトランデ
第弍回公演

MGトリコロール縮小
Musical
Mademoiselle Guillotine
~マドモアゼル・ギロティーヌ~

strong>2013/9/5(木)~9/9(月)@日暮里d-倉庫
詳細はこちらから。

過去の公演

公演は無事終了しました。ご来場ありがとうございました。

☆作家/演出として参加。

劇作家女子会×時間堂presents
劇作家女子会!
期間:2013年6月13日(木)~16日(日)
※演劇公演です。
会場:王子小劇場
女子会縮小版 劇作家女子会!HP
劇作家女子会!BLOG
遊戯ヱペチカトランデ公演
「The Giris next Door」
~おんなの子、
藪をつつけば、蛇がでる。~


2011年12/8(木)~12/12(月)
公演の詳細はこちらから。

趣向ワカヌ公演
縲発表表縮小版

「発表~いま、ここ。~」
まだ、ゆれてる。

作/演出
オノマリコ モスクワカヌ
演目/出演
リーディング『いま、ここ』
公演の詳細はこちらから。

蜻蛉玉チラシ完成縮小
「蜻蛉玉遊戯」
2010年9/1(水)~9/5(日)
公演情報はこちらから。

☆演出助手として参加。

2013年3月23日~27日
@座・高円寺
世の中と演劇するオフィスプロジェクトM
「ハルメリ2013」
台本:黒川 陽子
演出:丸尾 聡

2011年8月27日~28日
@スペース・ゼロ
非戦を選ぶ演劇人の会
「核・ヒバク・人間」
構成台本:非戦を選ぶ演劇人の会
演出:鵜山 仁

2011年3月9日~15日
@中野テアトルBONBON
オフィスプロジェクトM
「死刑執行人~山田浅右衛門とサンソン~」
作演出:丸尾 聡

2010年12月
北京蝶々「あなたの部品 リライト」
作:大塩 哲史
演出:黒澤 世莉(時間堂)
詳細はこちらから。

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