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ワカヌの美味礼賛「洋食の美松」編

皆様こんにちは。
最近、ツイッターで婚活botにフォローされて釈然としないモスクワカヌです。

さて、無職の日々が続く私。
今日明日中に路頭に迷うわけではないにしろ、しばらくは節約モードで生活していましたが、本日ひさびさの散財をしてしまいました.....。

その散財の元はこちら。



すみません。
次の仕事のあてもないのに外食しました。

身の程知らずとは重々わかっておりますが、これには深い仔細があるのです。

この「美松」は、知る人ぞ知る洋食の老舗。

料理人はかなり高齢のシェフが1人。

ネットの食べログ的なもののあちこちに「シェフが高齢」「シェフが高齢」「美味しいけどシェフが高齢で心配」と書かれているお店。

しかも去年の初夏頃、1度このお店に家族と行った時には、シェフが腕を痛めたとのことでお店自体が休業となっておりました。

シェフの腕が治り次第の再開、と休業を知らせる張り紙にはあったものの、正直なところ、このまま引退か、と寂しく思っていた私。

名にしおう「美松」の洋食は、我が人生において永遠の幻に終わるのか、と.....。

が、本日たまたまお店の前を通りかかったところ、以前とは違う張り紙が。



シェフ、まさかの復活。

な、なんだってー‼️

行くしかない‼️

リベンジするしかない‼️

いきなりテンションがMaxになる私に、理性の声が語りかけます。

(いいのですか....❓そんな散財をしたら...来月のあなたに待つのは強制断食の日々ですよ.....)

ええい、それがどうした‼️

シェフは死の淵から生還したんだぞ‼️(※腕の怪我です)

言っちゃなんですが、今日を逃して明日食える保証はどこにもないんだ‼️

いつ行くの⁉️
今でしょ‼️

というわけで、張り紙を確認してすぐに、開店30分前の店の前に並ぶことを決めました。
並ぶといっても、平日の早い時間なので、列には私1人です。

自他共に認める食い道楽の私は、「今を逃したら2度と出会えない味」とか、「産地直送」とか、「ローカルグルメ」とかのキャッチーなコピーやイメージに、わりと容易く踊らされるタイプ.....。

そりゃあもう、サルサかジルバかってくらい激しく踊ります。

そんなわけで「洋食の老舗」なんて看板だけでヒットなのに、「シェフ、まさかの復活」なんてクリティカルヒット決められた日には、その店の前を素通りなんて出来ない相談です。

結局そのまま開店の時間になり、お店のシャッターがあきました。

「いらっしゃい」

補佐らしい女性と、白いコック帽を被ったシェフに迎えられ、憧れの美松へ足を踏み入れた私。

20人も入れば満員になりそうな、こじんまりとした店内。
格段オシャレな内装ではありませんが、年季の入って飴色になった椅子や机の木肌、あっさりとした造形のカウンターとテーブルが感じのいいお店です。

「ムーン・リバー」や「愛の讃歌」といった往年の名曲が、低くかかっています。

また店内には造花が飾ってあるのですが、その花にまったく埃が積もっていないのも気に入りました。
造花を飾ったはいいものの、掃除が甘くて埃っぽくしている店、けっこうあるのです。
造花にかぶさった埃ほど、私を佗しい気持ちにさせてくれるものはありません。

早い時間だったので、お店は私の貸切状態。

早速メニューのなかのビーフシチューを注文しました。

何せ料理人が1人なので、混んでいる時はかなーり待たされるという噂の美松。
ですが開店直後の空いた時間でもあり、それほど待たされることもなく、ビーフシチューとライスが出てきました。



白い湯気のたつビーフシチューに、同じく真っ白なライス。

お分かり頂けるでしょうか。
シチューの中には、牛肉の塊が贅沢にゴロゴロッと入っていることを.....❗️

去年の夏、幻に終わったビーフシチューが、今、私の眼前に....❗️

気持ちとしては、ここで1発ファンファーレがふいてもいいくらいですが、そんなベタな演出は自分の胸だけに秘め、銀色のスプーンを厳かに取り上げ、デミグラスソースの海に沈めます。

そしてひと匙、湯気のたつ焦茶色のソースをすくい上げて、熱すぎず冷ましすぎない頃合いを見計らって一口。

「..........。」

ハッピーニューイヤアアアアア‼️

う、美味い✨

テンション的には、私の舌の上で今、新しい年が明けた感じ....❗️

ケチャップの甘さと酸味、こってりこっくりと芳しいデミグラスソースは、味がしっかりと濃いのに、しつこさがなくてすごい。

赤ワインを効かせた華やかさというよりも、しっかり焦がした小麦粉の香ばしさのほうがたつソースは、ビーフシチューの起源である「フランス料理」ではなくて、これぞ「洋食」という味わい。

非日常を演出するのではなく、市井の生活に寄り添い支えてくれるような美味です。

牛肉はスプーンでほぐれるくらい柔らかいのに、ジャガイモやニンジンは適度な歯ごたえを残しつつ、中までしっかりほっくり火が通っています。

ちょっとどういうこと⁉️

私も散々カレーとかシチューとか作ってきたけど、1度も野菜こんな風になったことないよ⁉️

「いやー、これは美味しい・・・」

うん、思わず声がでますよね。

お店に私1人しかいないけれど、誰にともなく呟いちゃいますよね。

鏡はないけど、自分がニッコニコしているのが自分でわかります。

だいたい美味いもの食べてれば幸せな単純な私....。

いやでもこれは幸せになる味ですよ❗️

我が夕食に一片の悔いなし‼️

たとえ来月断食することになろうとも、私は今夜このビーフシチューを選ぶ......❗️

口にした牛肉がうっかり脂身のところだったりした時は、あまりの甘さに自分の舌もあわせて溶けそうになりました。

ひと匙ごとに感嘆し、歓喜し、喫驚し、全ての感覚と言葉でシチューを味わいながら、食べ始めてから終わるまでの時間、約20分。

その間私は、このビーフシチューがいかに美味いかということと、その美味さを褒め称えることしか考えていませんでした。

自分の世界が、一つの皿に集約される時。

大げさですが、私はその時に、自分の世界が枠を外して大きく広がるような、限りない自由を感じます。

私が美味しいものが好きなのは、それを食べている間は、普段は心に浮かんでは消えるノイズのような全ての雑念が消え失せて、今生きてこれを味わっている、それだけになるから。

明日の不安も過去の失敗も、現在の自分すらなくなって、今食べているものが美味しいということと、それを味わっていることの嬉しさが世界の全てになる。

ものを書いている時も、たまにこうした時が訪れて、いつも頭に孫悟空の輪のようにハマっている枠から自由になることがあるのです。

ここで私はハタと気付いてしまいました。

あと、オムライスとハンバーグくらいならイケる、と。

追加注文、余裕だなと。

何を隠そう、私は美味いと思った食事に対しては、胃袋の許容量が通常時の倍になるという特技があります。

ゲームのキャラが特定のアイテムでパワーアップするようなものです。

ですが、私は今無職。
いくらテンションが上がっているとはいえ、1人で数千円分の夕食という狼藉が許されるのか⁉️

否❗️❗️

さすがに理性の声が勝ち、無事に次の仕事が決まってから、オムライスとハンバーグを注文しに再来店しようと心に決めました。

私がお会計をする頃になって、お客がだんだん立て込んで来たのですが、

「久しぶり!復帰おめでとうございます!」 と笑顔で来店するお客様がいて、こちらもほっこりした気分に。

常連らしいそのお客様とお店のスタッフの会話を漏れ聞くところによると、シェフは18歳の頃から洋食一筋で、腕を痛めて引退も考えたけれど、本人の意思もあり、続けるだけは続けるつもりとか。

18歳の頃から、洋食一筋でおそらく数十年。

この店にあるのは、老舗を看板にした権威ではなく、シェフが長年続けてきた、日々の地道な仕込みやお客様の期待を裏切らないという途方もない偉業の果てに培った「洋食の老舗」のブランドなんだと思います。

去年の12月から再開したという「美松」。

あんまり忙しくなるとシェフの体調が心配ですが、再開をまだ知らないファンも大勢いると思うので、来店するなら平日の開店直後がオススメ✨
※今は開店は17時からになってます。
※来店前に電話で空きを確認したほうがよいかも💦

とにかく洋食好きには力一杯オススメなお店なので、近くに来た時は是非覗いてみてください。

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2016-01-12 : 日々 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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プロフィール

ものを書く縮小 劇作家のモスクワカヌです。
短編・音楽劇・ラジオドラマ・Webコラム等を書いております。 ペンネームの由来は、以前住んでいた某首都+本名。
演劇ユニット「遊戯ヱペチカトランデ」の主宰もしてますが。団体は現在お休み中です。
HP:「遊戯ヱペチカトランデ」
BLOG:「дача берёза ダーチャ・ベリョースカ」
劇団劇作家所属。劇作家女子会。メンバー
お問い合わせはyugi.mw☆gmail.com(☆を@に変えてください)にお願いします。

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遊戯ヱペチカトランデ
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~マドモアゼル・ギロティーヌ~

strong>2013/9/5(木)~9/9(月)@日暮里d-倉庫
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過去の公演

公演は無事終了しました。ご来場ありがとうございました。

☆作家/演出として参加。

劇作家女子会×時間堂presents
劇作家女子会!
期間:2013年6月13日(木)~16日(日)
※演劇公演です。
会場:王子小劇場
女子会縮小版 劇作家女子会!HP
劇作家女子会!BLOG
遊戯ヱペチカトランデ公演
「The Giris next Door」
~おんなの子、
藪をつつけば、蛇がでる。~


2011年12/8(木)~12/12(月)
公演の詳細はこちらから。

趣向ワカヌ公演
縲発表表縮小版

「発表~いま、ここ。~」
まだ、ゆれてる。

作/演出
オノマリコ モスクワカヌ
演目/出演
リーディング『いま、ここ』
公演の詳細はこちらから。

蜻蛉玉チラシ完成縮小
「蜻蛉玉遊戯」
2010年9/1(水)~9/5(日)
公演情報はこちらから。

☆演出助手として参加。

2013年3月23日~27日
@座・高円寺
世の中と演劇するオフィスプロジェクトM
「ハルメリ2013」
台本:黒川 陽子
演出:丸尾 聡

2011年8月27日~28日
@スペース・ゼロ
非戦を選ぶ演劇人の会
「核・ヒバク・人間」
構成台本:非戦を選ぶ演劇人の会
演出:鵜山 仁

2011年3月9日~15日
@中野テアトルBONBON
オフィスプロジェクトM
「死刑執行人~山田浅右衛門とサンソン~」
作演出:丸尾 聡

2010年12月
北京蝶々「あなたの部品 リライト」
作:大塩 哲史
演出:黒澤 世莉(時間堂)
詳細はこちらから。

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